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被告第2準備書面

被告第2準備書面
by chakochan20 | 2006-04-25 21:40 | 裁判資料(41)

準備書面(2)

<平成17年(ワ)第25285号
原告 中野布佐子
被告 株式会社朝日熱学
準 備 書 面(2)
                      2006年4月24日
東京地方裁判所民事19部合議B係 御中

                     原告訴訟代理人
                     弁護士 中野麻美
                      同  菅沼友子
                      同  秦 雅子
                      同  原田史緒

 原告は、被告の2006年3月7日付被告第1準備書面に対して、以下のとおり反論する。

1999年(平成11年)退職金規程第11条第3項は、不利益変更にあたる
1 被告は、1999年(平成11年)退職金規程第11条第3項は創設的な規定ではなく、1979年(昭和54年)退職金規程及び1999年(平成11年)退職金規程第11条第1項の包括的規定の例示規定に過ぎないのであり、1999年(平成11年)退職金規程は、何ら不利益を創設したものではなく、不利益変更には該当しないと主張する。

2 しかしながら、第一加算年金及び第二加算年金による給付は、1979年(昭和54年)退職金規程第11条第1項の「保険会社等との間に退職年金等の契約に基づき、退職者に給付されるもの」に該当しない。
   したがって、1999年(平成11年)退職金規程第11条第3項は、創設的な規定である。

3 第一加算年金及び第二加算年金による給付が、1979年(昭和54年)退職金規程第11条第1項に該当しないのは、以下のとおりである。
    (1) 厚生年金基金の加算部分は、第一義的には、従業員の退職後の年金の充実のために設けられた制度である。これを事業主が、自社の退職金制度の中に組み込むことも可能であるが、その場合には、必ず、退職金規程等に、厚生年金基金からの給付金を退職金額から控除して支給する旨の規定を設けなければならない。
   (2) そして、上記の規定は、従業員が自らの権利義務を具体的に認識し得る程度に、具体的かつ明確なものでなければならない。このことは、就業規則等の規程が、従業員の権利義務を規定し、従業員を拘束する効力を有するものであることからの当然の要請である。
  (3) しかるに、被告の1979年(昭和54年)退職金規程第11条第1項によれば、退職金との調整の対象となるのは、「保険会社等との間に退職年金等の契約に基づき、退職者に給付されるもの」であるが、この中に第一加算金及び第二加算金が含まれていると、従業員が認識することは著しく困難であり、かつ、そのように解釈することはきわめて不当である。
  (4) すなわち、
   ① 適格退職年金が、一民間保険会社との間の契約に基づいて支払われるものであるのに対して、厚生年金基金は、厚生年金保険法に基づき厚生労働大臣の認可を受けて設立される公法人であり、いわば準公的年金ともいうべき制度である。このように性格を異にする両者を、上記のような抽象的な規定の中に包含して、一括して規定しているものと解釈することは不当である。
     さらに、上記規定では、「保険会社等との間に」「契約」に基づき給付されるものとされており、会社が厚生年金基金に加入することにより、厚生年金基金規約に基づいて給付される、加算部分の給付が、この文言の中に含まれると認識し、解釈することはきわめて困難である。
   ② そもそも、被告の従業員は、1979年(昭和54年)退職金規程が実施されていた当時、第一加算年金及び第二加算年金への加入の事実を知らされていなかった。存在すら知らないものが、上記規定の中に含まれていると認識することが不可能であることはいうまでもない。
従業員がまったく存在を知らない給付についてまで、抽象的な規定でもって、包括的に権利を放棄させることを可能とするような解釈はきわめて不当である。
   ③ さらに、第二加算年金については、加入したのは、1979年(昭和54年)退職金規程の制定後である1982年(昭和57年)である。被告の主張によれば、第二加算年金への加入後、加入の事実を従業員に知らせることも、これについて内枠方式をとるとの説明もなく、ましてや退職金規程を変更することもせずに、自動的に退職金との調整が可能となるが、このような解釈はきわめて不当である。
     これが許されるのであれば、会社側は、あらかじめ抽象的な規定を設けておくことで、後から加わったものについてまで自由に処理をすることが可能になるのであり、従業員はその内容を認識することすらできない。従業員の権利義務に関わる事項について、会社側が一方的に、恣意的に運用することを許す結果になってしまうのである。     
  (5) 以上のとおりであるから、第一加算年金及び第二加算年金による給付は、1979年(昭和54年)退職金規程第11条第1項の「保険会社等との間に退職年金等の契約に基づき、退職者に給付されるもの」には含まれない。
  被告の主張は、結局のところ、従業員に詳細を知らせず、適正な手続も踏まないまま、被告の都合で好き勝手に制度を運用していたということを自白しているにすぎないのである。

4 したがって、1999年(平成11年)退職金規程第11条第3項は、創設的な規定である。そして、この規定がなければ、退職金と第一加算年金及び第二加算年金は、原則どおり、ともに従業員に対して給付されるべきことになるのであるから、当該規定の創設は、就業規則の不利益変更に該当する。

                                  以 上
by chakochan20 | 2006-04-24 22:09 | 裁判資料(41)

男女同一価値労働同一報酬


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