人気ブログランキング | 話題のタグを見る

WWNの省庁交渉

5月12日、WWNの省庁交渉が3月14日の全国ユニオン、4月10日のACW2についで行われました。私は、同時刻に東京ケーブビジョンとグットウィルの裁判傍聴のため遅れて参加。
西村ちなみ、福島みずほ、紙智子、各国会議員による、超党派の女性議員のご紹介をいただき、内閣府、厚生労働省、外務省、最高裁判所、法務省の担当者が参集。
WWNからは、兼松原告、住友メーカー裁判元原告5名、岡谷鋼機元原告、森ます美先生、サポーターなど総勢18名が交渉。
下記はWWN会長越堂さんの報告です。括弧ないのは私の見解。

<厚生労働省の回答>
・ 同一価値労働同一賃金は、労働基準法4条に含まれているので、立法化の必要はないと考える。  なぜなら、判例で、同一価値労働同一賃金にて、裁判所が判決を出している。それは、内山工業と兼松の裁判例である。 (内山工業は「同一労働」案件であり、京ガスの屋嘉比さんの裁判は同一価値労働同一賃金の最初の判例であるのに省庁は把握していない。同一労働と同一価値労働の違いがわかっていない)

・ 日本は、賃金決定に年功などの人事考課がマッチしていて、仕事にて賃金をきめるのはそぐわない。成果主義も不評。(日本は仕事イコール賃金に反映していない。職務評価より人事考課。経営者の恣意的な好き嫌い人事がまかり通っている)

・ ILOから勧告を受けて、本年6月~7月ころ、「賃金格差について研究会」を開催する。期間は2年間、研究者、有識者により、平成 14年以降、どのように変わってきたか、点検する。 (日本は1967年ILO100号条約、男女同一報酬条約を批准し、ILOから再三の勧告があったにもかかわらず41年間何もしてこなかった。今更2年間かけて点検するとは、怠慢もいいところ)

・ 改正パート法にて、同一労働同一賃金の対象者は正規社員、非正規社員(双方とも男女が対象)である。

・ ILO111号、雇用・職業差別待遇禁止条約の批准は、国内法の人権擁護法の改定が重要 (先進国で批准していないのはアメリカと日本だけである)

________________________

<WWNからの反論、要望>
・ 兼松判決が、同一価値労働同一賃金であると厚生労働省に評価していただき、非常に驚きである。裁判当事者が、そのように発表していないのに。
内山工業の判決は、同一労働同一賃金ではないのか。
それに、なぜ、同一価値労働同一賃金の判決が明白である、京ガスの判決がないのか?京ガス事件も、兼松事件も、森ます美氏と支援グループによる職務評価委員会にて、時間をかけて職務分析し弁護士が労基法4条違反と主張したものを、裁判官が一部であるが、労基法4条違反と判決したものである。
ILOが指摘するように、同一価値労働同一賃金がもっと明確に記載されていれば、1990年以来の、多くの賃金格差是正裁判や、住友メーカー、岡谷綱機のように10数年もの年数がかからなかった筈である。

ILOの専門家委員会は、「労基法4条が、100号条約の内容を充分反映していない、継続的な格差がつづいているから、立法化を要請」している。
「通達」という形でもいいから、どの裁判官が見てもあきらかなように明確にしてくれるよう、強く要望した。

・ 成果主義が、不評なのは当然である。何故なら、人事評価が上司の恣意的なもので不透明なものであるから。だからこそ、ILOが指摘する、客観的で、ジェンダーニュートラルな職務評価が必要。公労使の3者で、職務評価システム構築の検討を始めてほしい。りそなホールディングや、ロフトなど企業が、仕事で賃金をという変化がおきている時代である。

・ 2年もかけての研究会は間尺にあわない。その研究会のメンバーに、働く女性を入れることを要望した。

・ 職務評価が総合職男性と、非正規の女性間との比較も可能であるのか。「YES」の確認ができたので正規、非正規の同一同一賃金の実定法としての確認ができ画期的。

・ ILOにおいて担当者は、「100号と111号は双子のようなもの。111号を批准していないのは先進国で日本だけ」と言われた。111号の早期批准のため、何をすれば良いか、厚生労働省は、1週間以内に、議員に提案することを約束。」

-----------------------------------------------------------------------------
以下は西村かつみさんの感想です

「厚労省の6人をはじめ、数でくるのか、と思うほど各省庁から多くの出席がありました。最高裁からも出席されたのは、感激でした。

ILO条約勧告適用専門家委員会からの厳しい意見と、ILO訪問で得た成果をもとに準備をして臨んだ省庁交渉なので、多くの確認事項があり時間が足らなかったのが残念でした。

各省庁からきちんとした回答はそう簡単には出てきませんが、それでも越堂さんが先に報告されているように、あらたに確認できたことがありますし、状況も見えてきました。
2年かけて研究会をする、というような悠長なことを考えていることもわかりましたが、その研究会については内容やメンバーについて、意見を言ってきましたし、今後も申し入れる必要があります。

また、ILO専門委員会の質問には、不十分でも答えようとしているようで、昨年の均等法改訂で限定列挙となった間接差別について、実態調査の結果を報告するようにという点で、質問すると、5月末か6月に発表できる、とのことでした。
また、労基法4条で、同一価値労働同一賃金報酬原則は、どのような雇用区分間であっても適用できるものだ、ということを確認できました。

国際条約、選択議定書の批准について、何年も同じ理由でできない弁解を述べていましたが、ILO111号条約については、福島みずほ議員の追及で批准に向けて具体的に何をどうすればよいか、1週間以内に回答するよう要請しました。
選択議定書については、少し動きもあるようでしたが、でも司法権の独立を侵す、等従来の回答を繰り返されたので、CEDAWのショップ・シリングさんがWWN主催の講演会で言われた、「CEDAWは裁判所ではない、国に対して助言していくところなので、司法権を侵すということはない」、と言われたことを「助言」しました。

超党派女性議員が同席されていて、私達の発言と省庁の回答を聞いていて、今後、国会で問題にしていくポイントが見えてきた、ともに追求していきましょう、と言われ、今回の省庁交渉が活きたものとなっていると感じました。 」

----------------------------------------------------------------------------

ここ続けて3回それぞれの立場からの省庁との懇談会でしたが、お役人は本当に一般労働者のことを何もわかっていない、エリート集団の机上の空論に過ぎない。実がない!でも、厚生労働省は若い女性たちが出席してくるので、役人の世界では女性の登用が民間よりは進んでいることは確かである。其の女性たちに、我々差別され続けた女性たちが実体験を話し、啓蒙していかねばならないのでしょう。
by chakochan20 | 2008-05-12 21:38 | 活動報告(64)

男女同一価値労働同一報酬


by chakochan20