タダ乗り経営者こそ、できることなら即刻クビにしたい (ITmedia)

 面白い記事である。この手の経営者・管理職が多々いることに憂いている。私が定年まで勤め上げた朝日熱学の元社長もタダ乗り経営者の典型的な男性だった。雇われ社長で創業者一族(家電業界の旧ラオックス経営者)が何も言わないことを良いことに好き勝手のやり放題。一例として、ゴマすり社員・ゴマすりメーカーだけを回りにはべらし、殆ど毎日のように昼間から行きつけの鮨やで飲み食いし、へべれけれになって、ハイヤーを待たせ、ご帰還。その他にも数え上げたら限がないくらい数々あり。ヤル気のある社員を大事にしない、そんな会社は結局は淘汰される。今やラオックスも朝日熱学も買収の憂き目に遭い消滅している。

以下はItmediaエグゼクティブの記事である。

「社員でなく、経営者で「タダ乗り」を決め込む者がいるから困ったものだ。(頭脳)労働の提供を惜しみ、地位・報酬などの見返りだけを要求する「タダ乗り」である。経営者だから、影響大だ。本当は即刻クビにしたい。しかし、簡単にはそうは行かない。
 しかし、クビにした痛快な例はある。1部上場大企業で何かと理由をつけては接待ゴルフ漬けの取締役会長が、ゴルフだけをしていればいいものを、社長を手先として完全支配下に置き、人事や重要経営案件になると口を挟んだ。眼に余る言動に、常務取締役を頭に取締役たちが結束し、会長に「社長を差し置いて、人事、経営案件には口を挟まない」ことを、直接申し出た。
 会長には天変地異の出来事、飼い犬に手を咬まれた心境だったろう。あれほど強気の会長が、常務たちを前に何も言わず、翌日から出社せず、1週間後に会長退任を申し出た。常務たちの心意気や素晴らしい。彼らは、背に腹は変えられなかったのだ。

 もう1例、ある日上場中堅企業で某取締役が役員から外された。彼は時間があると密かにPCゲームに興じ、業務面ではいったん言い出したら間違いを指摘されても絶対引き下がらず自説にこだわり、日頃から部下との摩擦が絶えなかった。トップは見るに見かねた。
 しかし、こういう個別案件は特例中の特例で、そう簡単にクビにできるものではない。ましてや従業員から経営者を拒否するわけには行かない。では、「タダ乗り」経営者をどう扱ったらいいのか。何ともレベルの低いテーマで恐縮だし、気が滅入るが、以前「タダ乗り」社員を論じたので、もっと影響が大きくて、実際にはその数も多く、眼に余る「タダ乗り」経営者を論じておかないわけには行かない……というわけだ。

 どういう「タダ乗り」経営者が、どの程度いるのか。
 まず、従業員が経営者をどう見ているかを、アンケート調査から拾ってみよう。
 「NPO GEWEL」の「ベンチマークサーベイ2010」(ビジネスパーソンの働く意識調査日米比較 2009.12.)によると、ビジネスマンが「会社の経営理念や経営者の考え方」に
・「満足している」は(日本28.7%、米国61.8%)
・「不満である」は(日32.5%、米18.5%)となっている。

 日米の差が大きい上に、日本のビジネスマンは「経営理念や経営者の考え方」に、「満足」より「不満」を感じている方がはるかに大きく、30%を超える。問題である。
 「第1回 経営者に関する意識調査」(中小企業新聞、’09.9.28.~10.27.の間調査、大企業約21%・中小企業約68%・不明約11%の構成、対象20歳台~70歳台の529人、複数回答可で下記質問に対して1000回答)によると、「社長について当てはまるイメージ」として、「ケチ」6.0%、「傲慢」5.0%、「無能」4.6%、「横暴」3.8%、「気弱」2.6%、「ウソつき」1.7% となり、合計24.7%の回答が社長にマイナスイメージを持っている。
 これら従業員から見た経営者の評価は、意外と正鵠を射ている場合が多く、こういう評価を受ける経営者が、「タダ乗り」経営者の予備軍と言えよう。あるいは、そのまま「タダ乗り」をしているかもしれない。「タダ乗り」経営者を、わたしの経験から分類してみよう。

●幸運無能型
 上記意識調査で「無能」と決め付けられた経営者は少なくともこの分類に入る。運良く役員に登用されたが、無能というタイプだ。この数が一番多い。
 運はいろいろある。たまたま時流に乗った好業績部門を統括していた(プロセスより結果重視のケース)、新製品がよく売れ、たまたまその部門を統括していた(巡り合わせが良かったケース)、トップとの個人的つながりがあった(これは、超大企業でもある)などの幸運で役員に登用され、しかし実力が伴わないという例はゴロゴロある。
 例えば「巡り合わせ」で取締役に登用されたが、その後いわゆるドラッカーの「昨日を捨てて、あしたをつくる」ことができず、関係者から密かに事業悪化・縮小の「戦犯」呼ばわりをされた例、「個人的つながり」で取締役・常務と登用されたが、スタッフ部門育ちのため、製造・原価計算・営業などのライン業務に疎く、一方で部下に耳を貸す謙虚さもなく、的確な戦略・方針・指示が出せないまま管轄事業を衰退させたが、降格されなかった例など枚挙に暇がない。
 こういう「タダ乗り」経営者は、「幸運」という成功体験をいつまでも引きずっているから扱いにくい。部下としては日頃マイペースで仕事を進め、たまたま役員と意見が合ったとき役員を利用する。そして、役員が去るときを待つしかない。

●ヒラメ型
 これは、上記意識調査内容とイメージが直接合わないが、あえて挙げると「傲慢」「うそつき」と評価される部類だ。某大企業の専務取締役は、徹底して社長の顔色を覗った。専務は、業務よりも社長の身辺事項に力を入れた。例えば社長出張時、宿泊ホテル、配車の車種、会食、観光などに心を砕き、社長夫人同伴となると、哀れなほど気を使った。さらに彼は同じことを、自分の部下が自分に対してすることを要求した。社長は彼と接すると心地良いため、優遇した。
 こういう類の役員は、業務や部下に眼を遣るより常に上目遣いのため、部下は役員から距離をとって当たらず触らず、マイペースで業務を進めるべきだ。

●プライド過剰型
 上記意識調査で、「傲慢」「横暴」と評価される経営者が該当するだろう。某中堅企業の取締役経理部長は、自分のプライドが価値判断基準だ。例えば、認可案件について自分のプライドを傷つけるテーマは却下、プライドを満たす案件は認可する。経理の権限を握るから、始末が悪い。接待ゴルフが得意だ。
 この類の役員は、気分に左右されるのでつきあい方が難しい。特に認可案件の承認を得るときは、彼のプライドを尊重するよう細心の注意を払わなければならない。バカバカしいが、こちらの業務をスムースに進めるには止むを得ない。

●一丁上がり型
 上記意識調査で「気弱」に見えるタイプがその一例かもしれない。今時、このタイプは余り見かけないと思う。某中堅企業の取締役は、勤務時間中でも時々密かにPCでゲームを楽しむ。傍から見ると業務に取り組んでいるようだが、秘書がしっかり見ていた。うわさは流れるものだ。マージャン・ゴルフ・酒など遊びが大得意のお人よしの彼は、アフターファイブになると元気が出て、リーダーシップを握った。仕事では、誰も彼を相手にしない。いや、できない。

 彼ら「タダ乗り」経営者に対する対策としてオーソドックスな方法は、コーポレートガバナンス機能を働かせることだ。経営者が株主の利益のために経営を行っているかを、監視する仕組みだ。経営者の業務執行状況を、取締役会、監査役会、内部監査などがモニタリングし、株主は株主総会で株主の利益に沿わない経営者を解任し新経営者を選任できる仕組みだ。しかし、巧みに生息をする「タダ乗り」経営者を摘発するのは、至難の技だ。
 日常業務の中で「タダ乗り」経営者から迷惑を蒙っている配下の者たちが打てる対策は、せいぜいその種の経営者を無視し、こちらのマイペースで仕事を遂行し、こちらにとって都合の良いチャンスがあれば、その経営者の土俵上で彼らを巧みに利用することだろう。時間が過ぎて彼らが去るのを待つしかない。何故なら、部下に経営者の人事権や査定権はなく、しかも彼らは往々にして、節穴の目を持つトップからの覚えが目出度いから、コーポレートガバナンスのモニタリングの網に引っ掛けることが困難だからだ。
 それに我慢がならないなら、そして「勇気」と「勝算」があるなら、冒頭の例のように反乱を起こすのが良い。
 ただ願わくば(ほとんど期待できないだろうが)、トップや経営者たちが本稿に目を通し、ガバナンス監視組織が機能を働かせるか、トップが自分の配下によもや「タダ乗り」役員がいないかを新しい視点で見直し、気づいて是正を図ってもらうか、あるいは「タダ乗り」経営者本人たちが、自分が該当しないかを真摯(しんし)に反省し、心を改めてもらいたいことだ。
 しかし、上記に挙げた「タダ乗り」の例を仮に本人が読んでも、これが自分の例だと気づかないだろう。それほど人は、特に「タダ乗り」を志す人は鈍感で、自己評価が甘い。
 「タダ乗り」役員には、P.F.ドラッカーの主張を肝に銘じてもらいたい。「新しい技術のもとでは、意思決定が事業に与える影響や、その対象とする時間的な広がり、そのもたらすリスクがあまりにも大きくなるために、経営管理者たる者には、自らの利益よりも企業全体の利益を重視することが求められる。
 意思決定が企業内のほかの人間に与える影響が決定的といえるほど大きくなるため、経営管理者たる者は、当面の都合ではなく哲学を持つことが求められる」「経営者にとって決定的に重要なものは、教育や技能ではない。それは真摯さである」(P.F.ドラッカー「現代の経営 下」ダイヤモンド社)「リーダーシップが発揮されるのは、人格においてであり、多くの人の模範となり真似されるのも、人格だからである」「人格はごまかしがきかない。一緒に働けば、特に部下には、その人が真摯であるかどうかは数週間で分かる」(同「現代の経営 上」)」
                                           以上
by chakochan20 | 2011-01-31 21:59 | ニュース(155)

男女同一価値労働同一報酬


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