日本の裁判に想うこと

  今回のCEDAW(女性差別撤廃委員会)の審議会においても各委員から指摘されたように日本は同一価値労働同一賃金(ILO100号条約)の理念が国内法に含まれていれば、住友メーカー・昭和シェル石油・兼松裁判のように14年もの長い裁判にならないのでは?
国内法に抵触するとして原告たちを敗訴させているのは、CEDAWの条約に違反している。
法曹関係者のCEDAWを尊重した教育の必要性があること。等々厳しい勧告がなされた。それにもかかわらず、日本政府は初めて国会議員である南野氏を日本代表に、各省庁からは省庁交渉に参加するような若い職員を17名を派遣し、準備した書面を読むことに終止し、的確な答弁になっていなかったとの報告である。
  今まさに兼松裁判は最高裁に持ち込まれ、判決待ちであるが、最高裁においては法廷が開かれるわけではないので、原告たちはなすすべがないのである。最高裁の前でビラまきをしたり、署名活動などの運動を盛り上げるのみである。そして、今年はタイミングよくCEDAWの日本政府への審議会が開かれることに先立ち、WWNは日本担当のバッテン委員を日本に招き、講演会を開いたり、兼松原告たちと直接ニューヨークの審議会に行き、審議会の様子やロビイング活動をNHKで放映するよう働きかけたのである。7月29日にBSで放映されたものは興味深いもので、日本のNGOの生き生きとした女性たちの活躍が多くの人に元気を与えたことでしょう。
座して勝利を待つのではなく、日本政府も英訳しない均等法の資料(隠したいがためか?)も独自で英訳・持参し、あらゆる人脈を使い、過去の住友メーカーの勝利を生かすべき努力をしていることに頭が下がる思いです。
下記は裁判を通して感じたことを、兼松裁判の勝利獲得のために、最高裁に上申書として提出したものである。

2009年4月30日
最高裁判所第三小法廷 御中

上   申   書
               
朝日熱学男女賃金差別裁判元原告 中野 布佐子

  私は2005年12月、30年勤務した会社を相手とって、男女の賃金に差別があったとして東京地方裁判所に提訴しました。2年3ヶ月、和解で終結しましたが、最高裁まで闘った昭和シェル石油の野崎光枝さん、兼松の原告たち他、先人たちの裁判は10年以上も闘い続け精神的・体力的・金銭的な負担が多大です。

1. 日本の裁判は時間が掛かりすぎます。
厚生労働省は経営側に対し、民事契約に関して政府は強制力がなく介入できないので助言・指導していくと言うだけです。個別案件は裁判で解決をとのたまうのです。一般の人は働かねば生活できない。ましてや働きながら裁判をすることなど精神的・体力的・金銭的に余程恵まれている人しか裁判を起こすことは出来ません。諦めざるを得ないのです。
2. 今、賃金差別裁判の裁判所の判断として、男性であったのなら当然支払われた賃金の1/3しか認めません。どの被告会社も無能と呼ぶ男性社員の下までしか引き上げられない。司法に公平な判断を求め、勇気を持って裁判に臨んでも、又もやここでも2重の差別に苦しめられます。
仕事に関しては男も女も困難度は同じ。企業は男性だから基幹判断業務、女性は補助定型業務と男性の既成の観念、枠組みの中に好むと好まずに関わらず押し込み、女性に差別的扱いをしてきました。
3.不当に支払われなかった労働賃金に時効を適用することに疑問。
原告に立証責任があるとするが、そもそも自分の給料と男性社員の給料に差があることは漠然と解っていても、一般の社員は知り得る立場にいないので解りません。
裁判を通して文書提出命令などで初めて知り、余りの差に愕然とするのです。
4.雇用均等法以前に入社した女性たちは、長い間、賃金だけでなくさまざまな差別を受け、便利屋として不当にも働らかされ続けてきました。
たくさんのパワーハラスメントにも耐え、仕事を続けられたのは生活の為でもあるが仕事の面白さも知り、我慢と忍耐で乗り切った女性たちなのです。
私の被告会社などは、均等法以前に入社した女性はこの法には該当しないから差別賃金でも良いのだと公然と言ってはばからない取締役ばかりなのです。
裁判所は「差別は憲法に違反しても違法ではない、その当時においては公序良俗に反しない」と。法律に反しているのに、違法ではないと言い切る判断は法律などあってもないに等しいと言っているようなものです。
5. 過去の判例に則っての判決に囚われすぎないか?
裁判所は過去の判例に囚われず、その時代に沿った、生きた判決を出す勇気をもってほしいと切に願います。

  差別はこれから先の年金受給にも関わり、一生涯差別で苦しめられ、人としての基本的人権にも深く関わってくる重大な問題です。
企業に対し罰則規定がない為、経営者の恣意的な人事管理で運営され、司法の場での罰則を求めても、裁量権の範囲内と切り捨てられてしまいます。使用者は僅かな賠償金は出しても、絶対謝罪はしない、差別が有ったことさえ認めません。
一個人が強い企業相手に闘いを挑むという事は、大海の中の小さな魚と同じで、右往左往するばかりでむなしさを覚えます。企業のコンプライアンスなどは絵に描いたもちと同じこと。
  悔しい思いをしてきた女性たちの想いを汲んで頂いて、裁判所におかれましては、違法な企業に対し公正平等な判決を命じられますよう、心から希望致します
by chakochan20 | 2009-09-06 11:22 | お知らせ(150)

男女同一価値労働同一報酬


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